山から届く、季節の恵み
昨日、ひるがの高原で捕獲された若い雄の猪が届きました。
私の料理は、まず食材との出会いから始まります。今回の猪はまだ若く、赤身の香りが美しく、脂にも重たさがありません。
山の木々が芽吹き、草花が勢いを増すこの季節。猪の肉質にも春から初夏への移ろいが映し出されます。
体重は約40kg。まだ若く、脂は軽やかで、赤身には野性味の中にも澄んだ香りがあります。同じ猪でも年齢や季節、餌によって肉質は大きく変わるため、毎回その個体と向き合いながら熟成方法や期間、料理を考えます。
今回はロースを中心に使用し、薪火の穏やかな燻香をまとわせながら、しっとりとロゼ色に仕上げる予定です。過度に手を加えるのではなく、山で育った命の力強さを感じていただける一皿を目指しています。
薪に火を入れ、その日の状態を見ながら焼き上げる。火力や香り、休ませる時間まで含めて、素材が最も美味しくなる瞬間を探ります。
高原の森に囲まれたこの場所だからこそ表現できる一皿を、コースの中でお届けしたいと思います。