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生産者巡りの旅Vol.1 長良川の天然鮎

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岐阜県郡上市高鷲(たかす)は、山川に囲まれた自然豊かな土地。変化に富んだ気候条件のもとで生まれる魅力的な食材とその生産者さんを、オステリア アオのシェフ・青木真一がご紹介します。

生まれも育ちも高鷲の太田浩一さんは、小学生の頃に父親の影響で川釣りを始めたと言います。大学卒業後、郡上漁業協勤務を経て、川漁師として独立。現在は、地域の川漁師仲間を束ねて卸売業も営んでいます。「早春に渓流釣りが解禁されるアマゴ、イワナ、サツキマス、そして夏から秋にかけての鮎と、長良川で捕れる魚はバラエティ豊か。中でも、澄んだ清流にしか生息しない鮎は、その象徴的な存在です」と太田さん。

太田さんは、鮎の縄張り意識を利用した日本古来の伝統的な「友釣り」で漁を行います。いわば、鮎との真っ向勝負。釣り糸の先に生きたオトリ鮎をつけて泳がせ、縄張りを守ろうと体当たりしてきた野鮎を引っかけて捕らえるのです。川の流れを読み、狙った場所でいかにオトリ鮎を操るかが腕の見せどころですが、さすが名手と呼ばれる太田さん。この日も、長い竿を川面に垂らしてからわずか数分で1匹目を釣り上げました。「天然鮎は川底の岩に付いたコケ類を食べて育つので、スイカのような芳しい香りがするのと、胸ビレの後ろに追星(おいぼし)という鮮やかな黄色い斑点が出るのが特徴です。養殖鮎もおいしいのですが、身のしまりや脂乗りのバランス、香気のいずれをとっても天然鮎にはかないません。もちろん、鮮度が命。釣りたては格別ですよ」と笑顔で話します。

オステリア アオでは、太田さんが釣った鮎を川から直送していただいています。都会にはないその贅沢は、川と向き合い続け、卓越した技術と理論を受け継ぐ人がいるからこそ、味わえるものでしょう。ひと皿に込めた、生産者さんに対する感謝やリスペクトもお客様に届きますように。そう願いながら、今日も私は厨房に立っています。

太田浩一さんのインスタグラム
https://www.instagram.com/minohidagourmet/